不定期掲載 第一回 『進め!ラーメン三郎()への道』http://www.geocities.co.jp/Foodpia-Olive/3433/img001.jpg

 

 ラーメン二郎は、もはや慶応生の食べ物にとどまらず関東を中心とした特定の人間を魅了して止まない。かく言う私も、ワンゲルの皆もすっかりジロリアンである。朝のプラン準備会の終わりに、“シャタ二郎”するのはもはや定番だし、下山後に真っ先に向かう先が二郎であることも珍しくは無い。そんな二郎は私たちを魅了し続けてくれる。

 二郎を愛したあまり、私たちは香川を中心に三田祭で二郎のようなラーメンを出すことに決めた。店名は二郎のパロディなので『ラーメン三郎()』に決めた。けれども妥協は許さないほどのクオリティーを目指す。出店するにあたって目標は二つ。一つ目は三田祭で不動の一位を誇る鹿児島県人会が提供する鹿児島ラーメンを販売・売上ともに抜くこと。もう一つは、最低二〇〇〇杯売ることである。これを達成することは難しいが、決して不可能ではない。理想は困難なくらいが丁度いいのである。

 

 先日五月一五日、私と香川はラーメン三郎出店に向けて、原価の設定と試作品作りを行った。実はこれは二回目の試作品作りであった。

 一回目はすでに四月の半ばに行われていた。この時は私と香川、それに八木も参加していて、私の自宅で調理が行われた。

 詳細は省くが、結果的には二郎っぽい味が出せた。素人たちが一度のラーメン作りで二郎に似た味を引き出せたのだから、二郎とは一体何なんだ?という気はしないでもないが、それでも結果には満足だった。クオリティーが高いものを作れそうだという確信にも似た感情が湧いた。

 今回は、まず材料費について話し合った。二郎で重要なのは、背脂・野菜・豚であることは周知の通りであるが、いざ作るとなると多くの材料が二郎には使われていることに気付いた。

 まず尋常ではない量の化学調味料、それに膨大なニンニクや醤油、ダシの豚骨や太麺などが、意外にコストがかかることが分かった。

 コストを削減するため、私たちはネットで各材料の最安値を調べ上げた。すると意外なほど安いことが判明した。これなら一人前原価百円を切ることは容易い。それを五百円〜六百円で販売すると言うから暴利と言えば暴利だ。しかも調べれば調べるほど、原材料の信頼性は保障できない物になっていった。正直あまり食べたくない。私たち自身は、三田祭期間中は焼きそばでも食べようという意見で一致した。

 方向性も決まったところで、私たちはいざ試食品作りに入った。香川は徐にカバンから食材を取り出し、その中には何故か強力粉とベーキングパウダーが入っていた。香川は、麺はコストがかかるため手打ちにしようと言うのである。確かに強力粉一キロ百十円であるから、だいたい一食分の麺は八円くらいで済む。名案だとその時思ったが、現実は甘く無かった。

 早速香川が、強力粉に水を加えこね始める。その間にも豚骨を血抜きし砕き、鍋でコトコト煮始める。

 途中で私が生地をこねるも、それは弾力が異常なほどあった。三十分程こねると、パン生地みたいになり、それを再び三十分冷蔵庫に入れ熟成させた。

 同時に香川は、キャベツ・ニンニクを切り野菜の下準備を終えた。

 お香の薫りで満たされていた私の部屋は、豚骨の臭いで満たされた。あまりに臭い。すかさず窓を開ける。

 

 三十分経ち私は生地を取り出し、寝かせた生地を最大限まで伸ばした。私の自宅には麺棒が無いので、洋服をかける突っ張り棒を代用した。いざ切り始めようと思ったが、熟成が足りないのか、思うように切れない。包丁はすんなり入るが、切断は極めて困難だった。

 何とか麺を切り進め、その切ったものを香川が薄力粉をまぶしていく。量が増えるにつれ、その麺は次第に様になってきた。二人は馬鹿みたいに喜ぶ。

 けれども時間が経つにつれ麺同士がくっ付き合い、次第に新生児の頭部大の脳味噌みたい見え始め気持ち悪い。食欲が激減した。

 強力粉一キログラムで出来た生地をすべて切り終えた。試しに茹で試食するが、香川は「人の食えたもんじゃねぇ」と言って吐きだした。この時点ですでに三時間が経過していた。麺作りは失敗に終わり、既成麺を業務スーパーまで買いに行くことにした。

 買ってきた麺・切った野菜を茹で、スープを温め直した。丼には豚を煮込んだ醤油と、大さじ三杯の味の素が入れられた。

 その上にスープ、麺、野菜の順で盛りつけられた。試作品第二号の完成だ。

 見た目は美味しそうである。

 二人は食べ始めたが、味はなんとも微妙だった。食べられなくはないが、特筆すべき点も無い。けれども問題なのは、味そのものが二郎風では無かったことだ。どちらかと言うと、そこら辺の店のただの醤油ラーメンに近い。一号の方がよっぽど良かった。

 しかも食べ終わった二人は気持ち悪くなった。豚が生だったことが問題なのであろうかは定かではないが、とにかく胃がムカついて仕方なかった。

 

 麺とスープは大量に余っているため、試作品第三号の開発を進める。香川はもうはいらないと辞退した。仕方ないので私が作り食べることになった。

二号の失敗は、ニンニクと背脂の量が不足していたこと、それにスープがぬるかったことが原因と思われた。それらを改善するため、スープに背脂二百グラム・皮つきのニンニクを投入し、強火で煮込む。

 五分後完成した。けれどもスープの色は灰色に濁り、それは淀川に浮かぶヘドロを連想させた。下の写真が第三号である。

 味の方はと言うと、決して不味くは無かった。けれども豚骨が臭い。完全に二郎系から離脱した味で、家系ラーメンの味になってしまった。それに私の胃のムカつきは加速していった。吐き気すらする。

 

 今回の試作品作りで分かったことは、麺は市販のものに限ることだ。それに豚骨の存在の疑問性。果たして豚骨は本当にいるのだろうか?背脂と化学調味料とニンニクで二郎の味が再現できるのではないだろうか、と思ってしまった。

 この反省を生かし、再び私の自宅で、二郎の試作品を作るつもりだ。

 そこでお願いがある。裏ホームページから飛んでこの記事を見事発見できたセンスある人に、試作品を是非試食して批評していただきたいのです。もちろん無料です。

 食べたい人や興味のある人や胃が強い人は香川に伝えてください。その内折り返しの連絡があると思います。沢山の人の参加を待っているので是非。

 

 

1回目の材料:背油1パック、にんにく1玉、キャベツ・もやし適量、ねぎ1本、鶏がら300g, 豚ヒレ280g, 味の素多量、豚骨1本、醤油、みりん、塩、煮込み時間2時間強

 

2回目の材料:背油1パック、にんにく1玉、キャベツ・もやし適量、豚ロース400g,味の素多量、豚骨2本、醤油、料理酒、みりん、塩、煮込み時間4時間